2017年7月9日日曜日

アメリカの医療事情、トランプ政権でさらに悪化。難病をかかえる母親が明かした1回の医療請求額はなんと2310万円



7/4(火) 16:30
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 日本のように国民健康保険がないアメリカの場合には、個人で保険に入らないと莫大な医療費が請求される。指に包帯を巻いただけで90万円、盲腸手術で575万円と、そりゃもう桁違いだ。たとえ保険に入っていても元の金額が膨大なのでかなりの負担を強いられる。
 これを改善すべくオバマ前大統領が、オバマケアと称した医療保険制度改革を進めてきたが、政権交代で一転、オバマケアの撤廃が決定した。
 共和党のヘルスケア法案、通称「トランプケア」の実施が迫った今、多くのアメリカ人が医療費の高騰に恐れおののいている。
 ニュージャージー州に住むある母親は差し迫った変化に対して異を唱えるため、慢性疾患の息子に送られてくる毎月の病院の請求書をツイッターで公開し、これがネット上で話題となっている。
 もし保険がなければ、1回の請求額はなんと約2310万円である。

トランプケアで保険に上限が設定される

 看護師だったアリ・チャンドラさんは妊娠中に、お腹の中のイーサンが内臓変位症候群という内蔵の位置に異常がある病気にかかっていることを知った。
 イーサンは心臓にも異常があったため、生後6日目にして最初の手術を受け、以来現在までに数度の手術を受けている。これまで医療費のほとんどは保険によって賄われてきたが、トランプケアが施行された場合、状況が大きく異なってくる。
 トランプケアには”生涯上限(lifetime cap)”が設けられており、1人の人間が利用できる保険額に制約がある。
 こうした制限はオバマ政権においては禁止されていたものだ。トランプケアが施行されれば、イーサンのような子供たちはその利用額の上限に達し、その親たちは膨大な額の請求書に直面することになるだろう。
 チャンドラさんが公開した最新の請求書と一連のツイートは一気に拡散された。彼女と同じような懸念を抱く親たちは、トランプケアに対して断固とした反対の立場をとっている。
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トランプケアについて議論が過熱する中、タイムリーな話題。今日、イーサンの直近の心臓切開手術の請求書が郵送されてきました。
room-board/semi 部屋 2,252,600円
coronary care 冠状疾患治療 4,708,900円
pharmacy 医薬品 821,518円
sterile 殺菌備品 1,056,600円
supply/implants 備品/インプラント 4,299,900円
laboratory 試験室 63,800円
lab/chemistry 試験室/化学 1,509,800円
lab/immunology 試験室/免疫学 34,400円
lab/hematology 試験室/血液学 659,400円
lab/bacter 試験室/細菌 110,600円
lab/other 試験室/その他 8,200円
diagnostic 診断用胸部レントゲン 358,100円
cat scan CAT測定/頭部 124,300円
OR 手術室サービス 4,048,926円
Anesthesia 麻酔 239,196円
blood 血液/保管調達 833,400円
respiratory 呼吸サービス 574,400円
cardiology 心臓学 339,000円
echocardiology 心臓超音波検査学 573,800円
drug 薬剤調整 458,899円
EKG 心電図/心エコー検査 36,000円
aetna 保険支払い分 -2,584,032円
aetna 保険支払い分 -8,484,999円
aetna 保険支払い分 -8,725,179円
please pay 請求額 50,000円
image credit:twitter./aliranger29
金額についてちょっと解説。保険がなければ、手術10時間、心臓疾患集治療室1週間、心臓科病棟1週間で23,111,500円を請求されていました。
image credit:twitter./aliranger29
息子はこうした手術を4回受けていて、中には多少大変なものも。前回の手術では集中治療室に3週間入院しています。
image credit:twitter./aliranger29
今年、手術はもう2回目。息子の手術の回数や大変さが減るといいけど、でも今後も胸を開くことにはなるでしょう。
image credit:twitter./aliranger29
心臓の専門医、ペースメーカーのための電気生理学医、多脾症なので小児科や免疫科にも定期的に通院しています。
image credit:twitter./aliranger29
夏に休養期間を挟んで、肺の専門医も加わります。5週間も診察がないのは初めて。
image credit:twitter./aliranger29
息子は1日に5種類の薬を飲んでいます。これも保険がなければ支払いはとても無理。
image credit:twitter./aliranger29
もう一度、金額を見てください。1度の手術で2,500万円近くかかっています。生涯上限が復活すれば、息子はもう終わりです。
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息子の目を見て、ここまで一生懸命頑張ってきたけど、残念ながら君にそうする価値はもうないんだと言ってください。あなたにあえてそう頼みます。
image credit:twitter./aliranger29
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自分が花より枝が好きだから私もそうだろうと、枝を集めてきたこの子にそう言ってください。
image credit:twitter./aliranger29
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眠った後、私の首に手を回して体を寄せてくるこの子にそう言ってください。
image credit:twitter./aliranger29
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元気のないホタルを葉っぱの毛布で包んで、怖くないように明かりは消さないでと頼んでくるこの子にそう言ってください。
image credit:twitter./aliranger29
投稿をどう締めくくればいいのか、泣きながらどう綴ればいいのかもわかりません。息子の命は絶対にかけがえのないものです。だから私たちは断固として戦います。
image credit:twitter./aliranger29

このツイートに関する人々の反応

彼女のメッセージに人々はすぐに反応した。
ある議員が、中流階級のアメリカ人はこの法案で年間26,500円相当の税額控除を受け取ることになると話していた。彼は、その方が私たちにとって大切なことだと考えているのだろう。
真実はこうだ。中絶については人命尊重派でも、世の中に生まれた子供の医療についてはそうじゃない。

アリさん、私はあなたのお子さんや同じ境遇にある子たちのためにずっと戦い続けます。伝えてくれてありがとう。強くありましょう、あなたは独りじゃない。

お辛いでしょう、心中お察しします。シェアしてくれてありがとう。この紛い物にその可愛い顔を突きつけてやりましょう。

あなたは私のヒーローです。みんな一丸となって、あなたの子や私の子、そしてほかの大勢の子供たちのために戦い続けます。

via:hopeforethantwitterMom Shares Her Son’s Crazy Surgery Bill To Show What Will Happen Under Trumpcare/ translated hiroching / edited by parumo
 オバマケアでは国民の医療保険の加入が義務付けられ、最低でも医療費の60パーセントが保険でカバーできていたわけだが、高額な保険料が家計を圧迫し問題となった。トランプケアでは保険加入は義務ではなくなる上に上限すらもうけられる。これではもともと高い医療費を支払うことはできなくなる。
 あちらを立てればこちらがたたず。どちらの政策をとっても簡単には解決できない根強いアメリカの医療問題がそこにはある。一番そのしわ寄せがくるのは難しい病気をかかえた小さな子どもたちだ。
 アメリカの医療技術水準は確かに高いが、医療費もかなり高い。これでは本当に困っている人に治療が行き届かなくなってしまう。アメリカ系のメディアは連日この話題でもちきりだ。
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